【患者様に知っておいてほしいこと】
サイナスリフトとは? ソケットリフトとの違い・費用について

この記事は、アイデンタルクリニック理事長・新宿院院長、山田博司先生監修のもと作成しています。

上の奥歯のインプラント治療の際に直面しやすいのが、「骨の高さや幅が足りない」という課題です。この課題を解決する処置のひとつが「サイナスリフト」です。サイナスリフトとはどんな治療なのか、手術後の注意点や費用、当院の方針をお伝えします。

サイナスリフト(上顎洞底挙上術)とは?

サイナスリフトは「上の奥歯」の骨を増やす治療

サイナスリスト(上顎洞底挙上術)とは、上の奥歯のインプラント治療において、骨の高さが不足している場合に行われる外科手術のことです。歯茎の側面を切開し、上顎の粘膜(シュナイダー膜)を数mm〜数十mm押し上げて、骨の材料を補填します。

骨を増やす必要があるのはなぜ?

歯科インプラントは、歯の根っこの替わりとなるネジのようなパーツ(インプラント体/人工歯根)を顎の骨に埋め込み、その上に人工歯(上部構造)を取り付ける治療です。インプラント体は、建造物でたとえると「柱」です。柱をしっかり立てるには、土台となる骨の高さや幅、量が十分である必要があります。しかし、歯を失ってから長い時間が経っていたり、歯周病などにかかっていたりすると、その部分の骨がやせてしまいます。そうすると柱がしっかりと立てられないため、サイナスリフトなどで土台である骨を増やす必要があるのです。

骨補填材が少ないとどうなる? インプラントのやり直しリスクも

サイナスリフトのポイントは、「非常に薄い上顎の粘膜(シュナイダー膜)を傷つけずに、骨補填材を十分に補填すること」です。

2つの症例画像を比較してみましょう。左は他院のサイナスリフト、右は当院のサイナスリフト症例です。

上顎洞の下、白っぽく見えるものが骨補填材です。右の画像では、骨補填材が鼻のほうまで十分に入っていますが、左の画像は限定的で明らかに量が少ないことがわかります。

シュナイダー膜は卵の薄皮ほどの非常にデリケートな膜のため、経験の少ない医師は、膜が破れるのを恐れるあまり骨補填材の量を加減してしまいがちです。骨補填材が足りないと、下記のようなリスクが起こる可能性が高まります。

  • 骨補填のやり直しが必要になる
    サイナスリフト後の画像検査で骨補填が足りていないことがわかった場合、再度骨補填を受ける必要があります。
  • インプラント体が上顎洞に突き抜ける
    場合によっては、骨補填後の画像検査をせず、骨補填が足りないままインプラント体を埋入することで、インプラント体が上顎洞を突き抜けてしまうケースもあります。すると、10年後、15年後などしばらく経過してから上顎洞炎や副鼻腔のトラブルが起こることがあり、この場合はインプラント自体のやり直しが必要になります。

骨補填のやり直し、インプラントのやり直しのどちらも、身体的負担はもちろん費用負担もかかってしまいます。当院では、こうしたリスクを回避し、患者様にとってよりよい治療ができるよう、下記の治療体制を整えています。

  • CT検査による的確な診断
    治療を開始する前に、患者様のお口の状態をCT検査で詳細に把握し、骨補填の必要性を診断します。CT検査は無料です。
  • 経験豊富な院長による手術
    当院では、400症例以上のサイナスリフト治療実績があります。豊富な経験による技量と知見をもとに、各院の院長が責任を持って治療にあたります。
  • 安全性が高い材料のみを使用
    骨補填材には、人の身体に馴染みやすく治癒期間が短くすむ、安全性の高い素材を厳選しています。また、縫合用の糸なども、患者様への負担を最大限配慮した素材を使っています。
  • 治療後の画像検査
    サイナスリフト後、画像検査で骨の状態を観察し、骨の安定が確認できてからインプラント体の埋入手術へと進みます。

なお、当院では、他院でインプラント治療を受けたものの不具合を感じている方のご相談をお受けする機会も少なくありません。気がかりがある方は、どうぞ無料カウンセリングでご相談ください。

「サイナスリフト」と「ソケットリフト」の違いと当院の方針

ソケットリフトとは?

上の奥歯の骨を増やす方法には、サイナスリフトのほかに「ソケットリフト」があります。両者の大きな違いは骨を補填する方法です。

サイナスリフトは歯茎の側面を切開して小窓をつくり、そこから骨補填材(骨の材料)を入れますが、ソケットリフトはインプラント体を埋めるための穴から骨補填材を入れます。大幅な骨造成(骨を増やす処置)の必要がないと判断された場合に行われることが多いです。

【ソケットリフトのメリット】

  • 切開する範囲が狭いため、身体への負担がサイナスリフトより比較的軽い
  • 治癒期間(骨補填材が自分の骨と融合し安定するまでの期間)がサイナスリフトより短い傾向にある

【ソケットリフトのデメリット】

  • 医師が患部を目視できない手術のため、骨補填材の適量がわかりにくい
  • 医師が患部を目視できない手術のため、上顎の粘膜(シュナイダー膜)が破れてもわかりにくい

サイナスリフトは歯茎に小窓をつくり、シュナイダー膜の状態や骨補填材の量を目で確認しながら、慎重に補填していきます。万が一シュナイダー膜が破れたとしても、適切な措置を行えばインプラントの埋入に支障はありません。

一方のソケットリフトは、穴が小さいため医師はシュナイダー膜の状態を確認できず、挿入する器具の感覚頼りで骨補填材を入れていきます。そのため、ソケットリフトでは骨補填材を十分な量まで入れきれなかったり、シュナイダー膜が破れても気づかなかったりするケースが起こりやすいのです。

当院ではより確実な骨補填として「サイナスリフト」を推奨しています

ここまでお伝えしてきたことを踏まえ、当院では上の奥歯のインプラントで骨が足りない場合は「サイナスリフト」をおすすめしています。30年近いインプラント専門医院としての経験と知見から、患者様がより永く、快適にインプラントをお使いいただくには、サイナスリフトのほうが確実性が高い、と考えているからです。

他院ではソケットリフトで問題ないと診断された方、ソケットリフト後の経過が気になっている方のセカンドオピニオンもお受けしています。お気軽にご相談ください。

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【抜歯前の方は必見】サイナスリフトを避けるには、抜歯と同時の処置が大切

これから抜歯をする方は、抜歯と同時に「ソケットプリザベーション」という処置を行うことで、将来的にサイナスリフトやソケットリフトが必要になる可能性を減らせます

ソケットプリザベーションとは、抜歯直後の穴に骨補填材を入れることで、骨がやせるのを防ぐ処置のことです。サイナスリフトやソケットリフトは「すでにやせた骨を増やす」手術であるのに対し、ソケットプリザベーションは「骨がやせるのを防ぐ」予防的な処置です。

ソケットプリザベーションを行うことでサイナスリフトを避けられれば、結果的に身体への負担、費用負担といった、患者様ご自身の負担が大きく軽減できます。

ただし、ソケットプリザベーションは一般的な歯科ではほとんど行われません。かかりつけ医で抜歯が必要だと言われたら、その場ですぐに抜歯をせず、当院にご相談ください。

サイナスリフトの費用は? 費用を抑える方法

サイナスリフトの費用

サイナスリフトを含むインプラント治療は、一部の例外を除き自由診療(自費)です。そのため、サイナスリフトの費用も歯科医院や治療内容によって異なりますが、相場は30〜60万円程度です。

当院のサイナスリフト費用は、275,000円(税込)です。

治療中のお痛みが不安な方は、セデーション(別途66,000円)をお受けいただけます。当院では、お見積りの際に費用明細をお渡ししています。お見積り以上の費用がかかることはございません。費用についての疑問や気がかりは、カウンセラーやスタッフまでお気軽にご相談ください。

セデーションについて詳しく知りたい方はこちら

医療費控除について

サイナスリフトを含むインプラント治療の費用は、医療費控除の対象です。1年間で支払った医療費が一定額を超えると、確定申告により所得税の控除等が受けられます。

【対象となる費用】

  • インプラント治療費(全額)
  • 術前検査費用
  • 通院交通費(公共交通機関利用分)

治療費や交通費等の領収書は必ず保管しておきましょう。

デンタルローンという選択肢も

インプラント治療は原則的に自由診療のため、保険適用の治療に比べて高額になりがちです。当院では歯科治療にご利用いただけるデンタルローンを取り扱っています。詳しくは、カウンセラーやスタッフまでご相談ください。

サイナスリフトの治療の流れは?

サイナスリフトの治療の流れ

サイナスリフトを含むインプラント治療のおおまかな流れは下記です。患者様の状態によって、下記以外の工程が含まれることもあります。

工程 内容
① 初診・診断・検査 ・問診、口腔内・骨の状態の確認(レントゲン、CT検査など)
・治療計画の立案
② 術前の準備 ・口腔内の清掃、必要に応じて他の処置(抜歯、歯周病治療など)を先に行うことがある
・手術日の設定
③ サイナスリフト手術 ・希望によってセデーションを行う
・歯茎を切開し、骨補填材を入れる
④ 骨の治癒期間
(6〜10ヶ月)
・骨補填材が自分の骨に置き換わるまで待つ
⑤ インプラント埋入手術 ・サイナスリフトで十分な骨量が得られたことを画像検査で確認後、インプラントを埋め込む手術を行う
⑥ インプラントの結合期間(3〜4ヶ月程度) ・インプラントと骨がしっかり結合するまで待つ
・この間は仮歯などで調整することもある
⑦ 上部構造(被せ物/人工歯)の装着 ・インプラントが安定したら、アバットメントを連結し人工歯(上部構造)を被せる
・噛み合わせの調整など最終調整

治療期間の目安

サイナスリフトを含むインプラントの治療期間は、インプラント本数や骨の再生能力、使用する材料などによって異なりますが、1年程度が目安です。場合によっては1年以上になることもあります。

サイナスリフト手術後の注意点と過ごし方

手術後に起こる可能性があること

手術後は、痛みや腫れ、内出血が起こることがあります。また、軽度の発熱が起こることもあります。

  • 痛みや腫れ:手術後2〜3日目が痛みや腫れのピークとなり、その後は徐々に引いていくのが一般的です。氷などで冷やすと腫れを抑えることができますが、患部に直接当てることは避けましょう。
  • 内出血:手術後 12〜24時間 は多少の出血や、血がにじむことがあります。出血が多いときは、湿らせたガーゼで20分程度圧迫して止血してください。

痛みや腫れ、内出血は少しずつおさまっていきますが、これらの症状が長引いたり、発熱が続いたりする場合は、担当医に連絡してください。

日常生活で気をつけたいこと

サイナスリフトを受けた後は、上顎洞の粘膜や骨造成部分を保護するため、鼻に圧力をかけないことが非常に重要です。とくに手術後3〜4週間は下記の行動を避けて過ごしてください。

  • 痛みや腫れ(優しく拭く程度にする)
  • 喫煙
  • くしゃみをするときは、口を大きく開けてする
  • ストローを使わない
  • 管楽器、風船など口や鼻で圧をかける活動はしない
  • 重いものを持ち上げたり、激しい運動をしたりしない
  • 水泳、スキューバダイビングなどは避ける

サイナスリフトに関するよくある質問

Q. サイナスリフトとソケットリフトの違いは?

A. サイナスリフトとソケットリフトは、どちらも上顎の奥歯の骨の高さが足りない場合に、骨を増やす目的で行われる外科手術ですが、骨補填材を入れる方法が異なります。サイナスリフトは歯茎を切開して骨補填を行い、ソケットリフトはインプラント体を埋める穴から骨補填を行います。両者とも一長一短がありますが、当院では確実性の高いサイナスリフトをおすすめしています。

Q. GBR(骨再生誘導療法)とはどんな治療?

A. GBR(Guided Bone Regeneration)は、上顎・下顎にかかわらず骨の量が少ない場合に行われる治療です。インプラントを埋め込む場所の「骨の幅」や「骨の高さ」が足りない場合に、骨を再生させるために行われます。

Q. サイナスリフトの成功率は?

A. 海外の研究によれば、サイナスリフトをともなうインプラント治療の3年後の生存率が92.8%と報告されており、これは最初から骨が十分にあるケースでのインプラントと同程度の生存率です*1 *2。また、万が一手術中にシュナイダー膜が破れたとしても、適切な措置を行えば、その後のインプラント生存率に大きな悪影響はないこともわかっています*3

なお、喫煙はインプラント失敗リスクの要因として知られていますが、短期間(8週間)の禁煙でも歯肉の血流などが改善されるとの報告もあります*4。インプラントを検討している方は、できるだけ早めに禁煙することが望ましいです。

Q. サイナスリフトの費用相場は?

A. サイナスリフトは自由診療のため医院や条件によって大きく異なりますが、33〜60万円程度が相場です。当院では275,000円(税込)で提供しています。なお、費用は医療費控除の対象となる場合があります。

Q. サイナスリフト手術後の注意点は?

A. 手術後、数日間は腫れや痛みをともなうことがあります。また、最低でも1週間は禁煙をし、手術後3〜4週間は鼻に圧力をかけること(鼻を強くかむ、ストローを使う、楽器を吹くなど)を避けることが非常に重要です。気になることがあれば担当医に相談しましょう。

【参考資料】

0120-848-479

0120-848-479

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